〇便に血が混じる・紙に血が付く
便に血が混ざる場合、口から肛門に至る全ての消化管が出血源として考えられます。一般に胃〜十二指腸までの出血は胃酸で酸化し、黒色便(タール便)として認識され、小腸〜大腸の出血は赤黒い便(暗赤色便)〜真っ赤な便(鮮血便)として認識されます。
〇血便(鮮血便)を来す病気
大腸がん
血便の際に、最も注意するのが大腸がんです。肛門付近のS状結腸~直腸がんでは、一見すると痔による出血と考えられがちのため注意が必要です。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。特徴的な症状としては、血便を伴う(または伴わない)下痢と腹痛です。発症年齢のピークは男女ともに20代と若く、若年者が繰り返す血便や下痢がある場合は大腸カメラをお勧めします。
虚血性腸炎
虚血性腸炎とは、大腸の血管が一時的につまることで、大腸壁が虚血に陥り、粘膜に炎症や潰瘍などができる病気です。左側の下行結腸を中心に血流低下が起こりやすく、腹痛や下痢、血便などの症状が現れます。動脈硬化により血流の低下した状態に加えて、便秘により腸管内圧が上昇することなどが原因で、そのほか、ストレス、食生活の乱れ(脂っこいもの中心の食事)、生活習慣の乱れ(運動不足など)も要因なるとされています。
大腸憩室出血
大腸憩室は、大腸の壁の一部が小さな袋状に突出したもので、食習慣の欧米化や高齢化とともに近年増加している大腸の老化現象の一種です。憩室内に露出した血管が破けることによって、腹痛などを伴わずに突然真っ赤な血便が出ることがあります。
感染性腸炎
主に下痢や腹痛症状となりますが、腸管出血性大腸菌、カンピロバクターなどの特殊な細菌感染症で血便を伴うことがあります。
いぼ痔・切れ痔
真っ赤な便がみられた場合、頻度として最も高い病気です。痔は良性疾患ですが、痔だと思い込んで放置して、悪性疾患の発見が遅れるケースもあります。そのため血便が続く際は、一度医療機関(消化器内科)への受診をお勧めします。