新潟市東区山木戸 内科

 

【院長コラム】機能性ディスペプシア(FD)について

〇機能性ディスペプシア(FD)について

機能性ディスペプシアとは、「胃(みぞおち)が痛い」「焼けるような症状」「食後のもたれ・腹満感」などがあるにもかかわらず、胃カメラ、腹部超音波検査、血液検査などの検査を行っても、原因となる病気を認めない方の腹部症状を表す疾患です。

〇機能性ディスペプシアの原因

機能性ディスペプシアは様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

1.ストレス
原因としてよく知られているのはストレスです。現在感じているストレスだけでなく、以前経験した大きなストレスも症状の発生に関与している場合があります。さらに、無自覚でも脳が感じる微細なストレス、いわゆる「マイクロストレス」も近年の研究で注目されています。

2.胃腸の運動機能異常
本来、胃は食事量に応じて柔軟に膨らむ機能を持っていますが、この機能が障害を受けることを「適応弛緩障害」と呼び、少し食べただけですぐお腹いっぱいになってしまうような症状が出ます。また食べたものが胃から十二指腸へ送り出される過程がスムーズに行かず、胃内に食べ物が留まる「排泄遅延」によっても胃もたれ症状などが生じます。

3.知覚過敏
内臓が知覚過敏状態になっているため、同じ胃酸刺激があった場合でも、より症状を強く感じることが特徴です

4.胃酸分泌の過多
ストレスや高脂肪食、刺激物、カフェイン、アルコールなどの摂取が胃酸分泌を過剰に促すことがあり、胃酸過多は機能性ディスペプシア症状の一因となります。

〇機能性ディスペプシアの診断

機能性ディスペプシアと診断するためには、同じような症状がある他の病気(逆流性食道炎、胃十二指腸潰瘍、胃がん、ピロリ菌感染性胃炎など)がないことを検査で確認することが重要です。そのため血液検査、胃カメラ、腹部超音波検査などで器質的な疾患が無いことを確認して、機能性ディスペプシアの診断となります。

〇治療法について

生活習慣の改善
基本となるのは、生活習慣の改善です。睡眠時間の確保やストレス管理は、軽症の方においては特に効果的で、これだけで症状が改善または消失することもあります。適度な運動やバランスの取れた食事も重要です。

酸分泌抑制薬
胃酸過多は症状の一因であるため、胃酸分泌を抑える薬を用いることで症状の緩和が期待できます。

消化管運動機能改善薬
胃腸の運動機能異常にアプローチする薬です。機能性ディスペプシアの病名に対して保険適用が認められている唯一の薬として「アコチアミド」があります。胃の動きを正常化し、食べ物の消化と排泄を促すことで症状を軽減します。
「アコチアミド」は胃カメラを受けた後にしか保険適用されないなどの制約がありますので、類似薬のモサプリドクエン酸塩や六君子湯(漢方)などが用いられる場合もあります。

抗不安薬や抗うつ薬
上記で改善が乏しい場合は、抗不安薬や抗うつ薬を使ったストレス軽減アプローチが必要となることがあります。
 

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